愛教労ニュース第64号 2002年7月17日発行
研修権への重大な侵害は許されない
県下の各地区、各学校で、「夏期休業中の勤務場所を離れて行う研修について、研修報告書の提出が義務づけられたり、研修内容に制限が加えられたりして、事実上、研修ができなくなるという事態が生じています。
教員の研修について、教育公務員特例法第19条・20条の趣旨から次の三点を指摘します。
第@に、教員の研修は一般公務員の研修と異なり、教科の専門的知識、指導方法を深めるとともに、子どもたちの人格形成に影響を与える教育の特質から、幅広く自主的・自発的な研修によって、文化的・社会的教養を身につけることが求められています。
また、教員の研修は、よりよい教育活動を行なうために不可欠なもので、教育活動と一体のものであり、学問研究の自由が保障されなければならないし、そのためにも強制や命令で行われるのではなく、自主性・自発性が尊重されなければなりません。
そのため教特法第20条では、研修を教員の権利として特別に明記しています。法制定時の文部省自らの国会答弁もそれを裏付けています。
第Aに、教特法第20条第2項にもとづく研修は本来「職専免研修」ではなく教員の職務の一部であり、校長の裁量の範囲は法律の文面どおり「授業の支障」の有無の判断に限定されるべきものです。また、校長が承認する際「校務」を理由にした制限は教特法に規定がないことを全教の文部科学省交渉(7月1日)でも確認しています。
第Bは、研修の計画書やその後の報告書の提出を義務付けることの法的根拠がないということです。文部科学省は全教との交渉でもこのことを認めています。したがって、その提出を義務付けることはせず、その様式は、行政による画一的な押し付けではなく学校の裁量にゆだねられるべきです。
研修報告書の作成に多くの時間が割かれ、本来の研修の妨げになってはなりません。この点では、文科省も交渉で、「計画書や報告書にかわるものがあればよい」と回答しています。
県教委、本年度の実施を見送る
6月20日 県教委が提示した案
| 案 各県立学校長 殿 愛知県教育委員会教育長 教員の研修の取り扱いについて(通知) 1 研修の時期 研修の時期は、長期休業期間中の学校運営に支障のない日とする。 2 研修の単位 研修の単位は1日とする。ただし、次の場合は半日単位の承認も可能とする。 (1) 半日の研修会等への出席を目的とする場合で、研修内容が明確で半日の付与でも成果があると判断される場合 (2) 学校に出勤し半日勤務をする場合の残りの半日について、半日の付与でも成果があると判断される場合 3 研修の承認 研修の承認を受けようとする教員は、あらかじめ研修承認簿(様式1)により研修場所や研修項目を記載して校長に提出するものとし、校長は研修承認簿への記載以外に、適宜、研修内容等に関して承認に必要とされる資料の提出を求めることができる。 なお、事後的な研修承認や口頭での研修承認は認められない。 … 5 研修結果報告書 研修終了後は、速やかに研修結果報告書(様式2)より研修結果を記載して校長に提出しなければならない。 担当 教職員課県立学校人事グループ |
6月20日、研修の取扱いについて、愛知県教委は愛教労に対し、上の通知(案)を提示しました。
この提示には法を逸脱するいくつかの問題点が見られます。
第@に、研修の時期について、教特法には、「授業に支障のない限り」とありますが、ここでは「学校運営に支障がない限り」と故意に書き換え、研修をとりにくくしています。
第Aに、ようやく半日研修を認めたものの「半日の付与でも成果があると判断される場合」として研修に成果の有無を条件としていることです。この点も教特法になく、逸脱した基準を設けて研修をとりにくくしています。
第Bに、「研修内容等に関して承認に必要とされる資料の提出を求めることができる」としていますが、教特法の趣旨は、「あくまでも授業に支障があるかないか」だけを校長が判断するだけであり、校長の承認権限の濫用につながる恐れがあります。
第Cに、研修結果報告書を様式まで定め、校長に提出しなければならないとしていることです。報告書の提出を義務づける法的根拠はなく、法の求める自主的自発的な本来の研修の妨げとなりかねません。
このように今回の「通知(案)」は教特法にない、つまり法律に基づかないものであり、重大な問題です。
この提示は、交渉の結果、後日県教委から「見送る」との回答を確認し、今年度からの実施を撤回させることができました。
私たちは、教育基本法の第6条とその具体化である教特法の本来の趣旨に基づく研修権の確立をめざして職場で大いに話し合いをすすめ、法の趣旨に反する管理統制を許さない取り組みを大きくすすめることを呼びかけます。