特別決議
歴史の真実をゆがめ、民主主義を敵視する「教科書」を
子どもたちの手に渡さないために
愛知県の教職員、父母・県民のみなさんへ
いま、歴史の真実に目を閉ざし、自由と民主主義をないがしろにしようとする「教科書」が教室に持ち込まれようとしています。私たちはこの事態を憂慮し、子どもたちと教育を、そして、この国の民主主義を守るために勇気ある発言と行動を呼びかけます。
「新しい歴史教科書を作る会」が中心となって作成した「中学校歴史教科書」は、「神武天皇が進んだとされるルート」を地図入りで示すとともに、「神武天皇即位の日」を「太陽暦になおしたのが『建国記念の日』である」とするなど、神話をあたかも事実であるかのように取り扱い、天皇中心の「歴史」を描こうとしています。また、「大東亜戦争」は、「アジア解放のための戦争であった」とするなど、歴史学研究の成果を踏まえず、国際的な認識にも反して、戦争賛美を子どもたちに強要しようとするものです。
さらに、「中学公民教科書」も、天皇を中心とした大日本帝国憲法について、「国民には多くの権利や自由が保障され」たものであり「アジアでは初の近代憲法であるとして内外ともに高く評価された」とする一方で、現行の日本国憲法については「憲法の解釈によれば、わが国は集団的自衛権を行使できないという意見があり、それが国際協力の障害にもなっている。そのため日本国憲法第9条の表現そのものを改正する必要が強く唱えられている」とするなど、憲法の平和主義を敵視し、憲法改正論を基調とするものになっています。
歴史学研究者はもとより多くの教育関係者、父母、県民、そして近隣諸国から批判と危惧の声がわき上がっているにもかかわらず、政府・文部科学省は、若干の修正と引き換えに教科書検定を通過させました。「つくる会」はそのホームページで「(修正意見を受け入れても)我々の考え方は残っている」としており、これらの「教科書」の危険な本質とねらいはいささかも変わっていません。
また、こうした動きに呼応して、教職員を教科書採択の過程から排除し、政治の力で特定の教科書を採択させようとする動きも地方議会を中心に進められています。
県下の教職員、父母・県民のみなさん
おりしも、自公保政権は、首相の私的諮問機関にすぎない教育改革国民会議の報告を丸呑みにして、「教育基本法の改正」や「奉仕活動の義務化」、「問題を起こす生徒の排除」、「不適格な教員の排除」などを盛り込み、戦前的な価値観の押し付けと新たな競争と強制のための「教育改革」を強行しようとして「教育改革」関連6法案を提案し、数の力で成立させようとしています。自らの政策的な破綻と腐敗・スキャンダルによって国民の支持を完全に失っている自民党中心の政権に、「教育改革」をおしつけ、子どもや教職員、そして国民に強制する資格はありません。
県下の教職員、父母・県民のみなさん
歴史の真実をゆがめ、民主主義を敵視する「教科書」に子どもたちの現在と未来を託すことはできません。私たちは、こうした事態に警鐘を打ち鳴らすとともに、危険なたくらみを許さない良識と勇気ある発言と行動をともに巻き起こしていくことをよびかけます。
2001年4月28日
愛知県教職員労働組合協議会第9回定期大会